人工知能がマスタリングするLANDRを試してみた。

マスタリングエンジニアの感性、ノウハウを習得したコンピュータの人工知能がマスタリングを行うというサービスのLANDRというものがあるらしいので、いかほどのものかと試してみようと思います。

 

*noteからの転載記事です。

https://note.mu/shouehara/n/nb895858ae507

 

LANDR

https://www.landr.com/

こちらの記事でLANDRについて解説されています。

マスタリングを人工知能が行う時代に!?

http://www.dtmstation.com/archives/51909480.html

 

マスタリングを試すのは、自分の曲「Once and Again feat. Chihiro」でやってみようと思います。

ちなみに僕はマスターフェーダーにリミッター等のマスタリング用のプラグインを入れながらミックスとマスタリングを同時にやっているので、マスタリング用プラグインを外すとバランスが本来意図したものと結構変わっています。

 

今回聞き比べてみるのは下記のものです。

1.マスタリング用のプラグインを外したミックス音源

2.マスタリング用のプラグインを外したミックス音源をLANDRがマスタリングしたもの

3.上原がミックスとマスタリングを同時にやったもの

 

LANDRは無料版だとmp3(192kbps)しかダウンロード出来ないみたいなので、上原がミックスとマスタリングを同時にやったものはmp3(192kbps)に変換して同じ条件で聞き比べてます。noteはサウンドクラウドの音が直接貼れないみたいなので、面倒ですがそれぞれのリンクからサウンドクラウドのページに飛んで聞いてください。

 

1.マスタリング用のプラグインを外したミックス音源

https://soundcloud.com/sho-uehara/once-and-againno-mastering

普段あまりマスタリング用プラグインを外したものって自分自身でも聞かないんですが、バランスや音的にはあまり良くないですね(笑)

 

ハイハットやライドの音などのハイがシャリシャリしてます。歌がもう少しボリューム欲しいのと、歌の線が細いです。バランス的にキックが少し大きめですが、これはこれで有りな感じですね。キックも少し細めですが。ピアノももう少し中低域が欲しいです。

 

あとサビでのコンプ感が不安定でボリュームが結構上下してるのも気になります。マスタリング用プラグインを外した状態でもっと追い込むなら各音のコンプをもう少し掛けないとダメですね。あと全体的に太さが足りないので、EQで中低域などを足していく作業も必要そうです。

 

というのを踏まえた上でLANDRがマスタリングしたものを聞いてみましょう。

 

2.マスタリング用のプラグインを外したミックス音源をLANDRがマスタリングしたもの

https://soundcloud.com/sho-uehara/once-and-againlandr-mastering-mp3

パッと聞き悪くない感じですね(笑)良くも悪くも元のバランスに近めです。聞いた感じ、5kHz~6kHzあたりが少し目立つ印象です。200Hz~400Hzあたりの中低域はほぼ変化してないですね。80Hz~100Hzあたりの低域も大きく変化は感じられません。

 

5kHz~6kHzあたりが目立ってますが、もっと上の帯域はそれほど伸びていない印象なので、音に艶がなくカサカサしてます。あと、サビに入って音量が上がると全体的に音が細くなって音が詰まってる印象です。たぶんですが、コンプ1段掛けなのかな?とも。リダクションが増えた時に詰まる感じの音っぽいですね。

 

Aメロなどの静かな部分ではそれほど音質的に悪くはないですが、サビに入って音量が上がると帯域的に広がりが少なくなってます。全体的には5kHz~6kHzあたりに帯域が寄って、上下の伸びと中低域の太さやふくよかさみたいなのは出てきません。

 

最後に上原がミックスとマスタリングを同時にやったものを聞いてみます。

 

3.上原がミックスとマスタリングを同時にやったもの

https://soundcloud.com/sho-uehara/once-and-againshouehara-matering-mp3

当たり前なんですが、こちらは上原が意図した音になってます(笑)マスタリング設定で音を太くしてるので、ミックスそのものからはバランスも音も結構違いますね。ですが、マスタリングとしてだけで考えると、クライアントの意図を壊してる可能性もあるマスタリングですね。自分の作品だからいいものの。

 

上原のマスタリングの設定は非公開なんですが、ざっくり言うと、サチュレーターを使ってもうほんの少し歪ませて、コンプは3段階に分けて掛けてます。1つのコンプでリダクションが増えすぎるとミックスの音量が上がった時に音が詰まってしまうのを防ぐ為です。

 

 

総評

なんだかLANDRのマスタリングが悪いように書いてしまいましたが、そもそもミックス自体があまり良くないので、それがそのまま反映されたという印象でした。もしLANDRを使う前提でミックスをするなら、とにかく音を太くした方が良さそうですね。で、なるべく中高域は抑えめにする。ミックスそのものにダイナミックレンジを付け過ぎると音量が上がる所で音が詰まってしまい良くない結果になりそうです。なるべくコンプをしっかり使って、ダイナミックレンジを抑えつつ流れを作っていく必要がありそうです。

 

音圧は適度に上がって、無理はしていない感じなので、その辺りのサジ加減が難しいと思う方には手軽で良いかもしれません。ただ、ミックスを聞いて音の判断はしてなさそうな感じなので、知能と呼ぶにはちょっと無理がありそうですね。でも近い将来もっと性能が上がってきて、本当にマスタリングエンジニアを脅かす存在になる可能性も秘めてるからちょっと怖いです。ミックスもそのうちコンピューターが出来るようになるんだろうなーと。。

 

マスタリング用のプラグインを外したミックス音源をフリーダウンロードにしてみるので、自分でもマスタリングを試したい方がいらしたらお好きにどうぞ。

Once And Again(No Mastering).wav 48kHz 24Bit Wav

http://firestorage.jp/download/26afda5172c07158d048f51e5087d321101ae447

本作品はCCライセンス表示なので、下記のURLを表記してもらえればどういった用途でも使用出来ます。

http://shouehara.sub.jp/onceandagain