才能について

最近、左利きのエレンを一気読みして感化され少年漫画風なやる気が出ている私ですが、作中の1つのテーマである才能について、なんとなく考えてみようかと。

 

自分はレコーディングエンジニアなんて職業をやっている訳ですが、レコーディングエンジニアおける才能って一体何なのかと。

 

僕はぶっちゃけ自分に才能があって良かったとつくづく思っております。ここでいう才能とは、相手が求める音に辿り着ける、自分が良い音と思ったものが相手も良いと思える、といった所です。

 

この2点がズレていると仕事になりません。僕は幸いにしてエンジニアとして独立してからそれがそこまでズレていなかったので、まあなんとかやっていけております。でもこれ結構ズレるんですよね。

 

  • 相手が求める音に辿り着ける

 

ってとこなんですけども、エンジニア業はこれに尽きるといっても過言ではございません。この相手の求めてる音というのは、これまた三者三様ではあるんですけど人の性格によって大きく分けて2パターンありまして、自分の頭の中で鳴ってる音を忠実に再現して欲しいと、未知なるサプライズを期待している、の2パターンです。

 

このどちらかでレコーディングやミックスのやり方は大きく変わってきまして、相手が基本的にどちらのパターンなのかを見極めなければ右往左往します。僕は突拍子もないエフェクトなんかを使ったりとかしますけど、これは未知なるサプライズを期待しているパターンの人でなければ使えない技なのです。自分の頭の中で鳴ってる音を忠実に再現して欲しいパターンだと、違和感しか与えない訳ですね。

 

自分の頭の中で鳴ってる音を忠実に再現して欲しいパターンの方は結構むずくて、そういった場合はアレンジデモなんかを自分で作れる人に多いですね。要はアレンジデモからブラッシュアップしてくれと。

 

これはかなり訓練のいる所業でして、デモの音作りから相手が何をやりたいかの意図を音だけで感じ取らないと無理な訳です。ここでの見極めでむずい所が、そのデモを作った人が技術的に無理だったけど、本来こうしたいという意図の部分です。いやー、なんか実はこうやりたいんだけど、出来なかったんだろうなーみたいな部分。

 

ここはまだまだ僕も未熟な所で、判断を見誤ったりする事もたまにあるんですけど、熟練の超一流エンジニアなら一発で分かるという恐ろしさ。なんで分かるのあんたらみたいな。でもまあ意外と場数をこなしていけば分かるもんです。音という形の無いものからそういった意図を汲み取らねばならなくて、かなり特殊な能力が必要なんだと思いますね。

 

デモが無い時でも、相手が話す内容だとか、仕草だとか、演奏の仕方とか、何だとか、色々観察して感じ取らねばいかんのです。ゴッドアイ(神の目)が必要です。どうでもいいけど、もしデスノートの死神の目みたく、エンジニアの技術は半減するけど相手の意図が頭の上に文字で出てくるみたいな能力を取引されたらどうしよう。いや、いらないか。自分で頑張るわ。

 

未知なるサプライズを期待しているパターンもこれまたむずくて、自分のクリエイティビティーみたいな部分がどれだけあるかによります。何やってもいいけど、ダサいとダメみたいな。ダサさとカッコ良さって紙一重でして、ダサいギリギリがいつもカッコ良かったりするんですよね。天才と馬鹿は紙一重みたいなノリです。

 

未知なるサプライズはあと一歩向こう側にいけば激烈にダサいみたいな部分にありまして、そこを狙っていくんですが、僕はたまにあさっての方向に転げ落ちてる時もたまにあります。後で聞いたらむっちゃダサいみたいな。でも何事も挑戦だからね!

 

  • 自分が良い音と思ったものが相手も良いと思える

 

ここが自分との戦いといいますか、時代との戦いといいますか、基本的にいちいち全てを相手に確認しながらやるなんて不可能なので、ある程度自分の感性に基づいて仕上げなければいけません。なんといいますか、ここがズレるエンジニアはむっちゃ多い。

 

要は自分一人がやってる事なので、基本的には自分はむっちゃカッコいいと思って作ってる訳です。これが最高の音だと。文句あるのかと。(そこまで言わないけど)でも提出してみたら、何かもうちょっとうまくやってくれませんか、、??とか、もうちょっと化粧お願いしたいんですけど、、?みたいな相手も微妙に言いにくい雰囲気で暗にクソださいからどうにかしてくれと伝えてくるのです。はっきりダサいとは言いにくいからね!

 

ここで勘違いが突き進むと、いやいや何を言っているんだと、これが最高の音じゃないかと。俺がカッコいいと思ってるんだ馬鹿野郎と。アーティストは俺の感性についていけていないのかと。という風に拗らせてしまうのですね。

 

ここが自分の場合はほぼほぼ一致する事が多いので、これまた今のところなんとかセーフでして。でもこれってほっとけば簡単にズレていきます。毎度毎度微妙に自分の感性を修正していかないと、自分の感性だけに引っ張られていって気づけば取り返し付かないみたいな状況になったりします。

 

これが修正されないと、昔は良かったけど、今は何か古臭いんだよなーみたいな現象が起きる訳ですね。でもこれねー、意外と気付きにくいもんなんだよ。音だけではないと思うけど、人間の耳って気づかない部分はほとんど気づかないのです。ここはまあ戦いですよね。。

 

で、エンジニアという職業は天才とか素質でカバー出来る部分が意外と少なくて、ほぼほぼ技術の有無で解決出来る事がほとんどです。楽曲における独創性という部分ではそのほとんどがアーティストによる独創性なので、その独創性をエンジニアの独創性で作ろうとしてもほとんど余地がございません。もう独創性パラメーターはアレンジの時点でパンパンなのです。

 

左利きのエレンでいう、全ての天才になれなかった人たちでも出来る職業です。とはいえ、当たり前だけど訓練むっちゃいるけどね!

 

でも悲しいかな、ある程度クリエイティブが求められる世界ので、出来ない人はほんと出来ないんだろうなと。まあどのクリエイターの世界でもそうだと思いますけども。むっちゃ下積み頑張ったけど、一欠けらの才能が無くて去っていく世界でもあります。

 

とはいえ、エンジニアワークってフレームワーク的な部分が大きいので、そこをしっかり学べばある程度なんとかなってしまうもんでもありますけどね。ちなみに、こんな偉そうな事言いながらすぐ廃業したらどうしようとビクビクしながらブログ書いてます。レコーディングエンジニアなんて水物だからね。この内容が数年後にも説得力持てるように頑張りたいもんです。

 

やる気が無くなったら左利きのエレンでも読んでやる気出していくスタイルで今後も頑張っていこうかと思います。終わり。

 

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