レコーディングエンジニアってぶっちゃけどうなの的な

レコーディングエンジニアってのはなんかあんまりネット上では実際どうなのか的な情報って少ないんですよね。どんな仕事をしているのかとか、レコーディングエンジニアの1日みたいなのはちょこちょこ見たりするんですが、今回はもうちょっと突っ込んで内容を書いてみようと思います。

 

おおよその概要はネットを調べればすぐ分かるんですが、もうちょっと踏み込んだ事の情報はむっちゃ少ないなと。例えば、学生さんがレコーディングエンジニアになりたい!と思っていても、情報少ないんで実際の所はどうなんだと。まあかなり僕の独断と偏見が入ってますが、これからレコーディングエンジニアになりたいという方がいれば参考にして頂ければと。

 

 

職業の知名度

まずレコーディングエンジニアになりたいと思った時点でいったいどういうつもりなんだと。よくその職業を知れたねと。職業自体の知名度はかなりマイナーだと思います。たぶん。一般職の方に僕がレコーディングエンジニアをやっていると言えばほぼ間違いなく珍しがられます。えっ、どんな仕事内容なんですか?と聞かれます。

 

まあだいたいCD作ってる人ですとか、マイク立てて録音してる人ですって説明するんですが、それでもあんまり想像つかない感じですね。作曲家とか、ミュージシャンとかなら相手も分かるんですけども。まあなんとなくデザイナーに近いのかなーなんても思っているので、今度聞かれた時はそう答えてみよう。そう、思ったより誰もこのレコーディングエンジニアという職業を知りません。

 

じゃあ世の中にある曲はいったいどうやって出来ているんだと。私察するに、作曲して、iPhoneに録音するかの如く、録音したらもう音源が出来ているんだと思われているんでしょう。きっと。もしくはレコーディングするという行為がまるで無かったかのようにすっ飛ばされていますね。(ディスっている訳ではありません。)

 

 

アシスタント時代むっちゃつらい時代

レコーディングエンジニアになって食っていけるというのは、ぶっちゃけかなり難易度高いかなと思ってます。別業種で考えると、たぶん芸人さんとか、俳優さんとか、Youtuberさんとかとほぼほぼ同じレベルじゃないのかなと。まあ技術を積み重ねればなんとかなるものではあるので、芸人さんとかと比べると多少難易度は下がるかな?と。とはいえ、色々関門があるんですね。

 

僕は音響専門学校を卒業しましたが、同じ年の卒業生でレコーディングエンジニアになってるのってきっと僕くらいなんじゃないかしら。たぶんね。感覚的にはおおよそ専門学校のレコーディング科のクラス内で、3年につき1人~2人くらいの割合でレコーディングエンジニアになっているんではないかと。

 

例えば、東京のレコーディング専門学校を卒業したとして、レコーディングスタジオに就職したとするじゃないですか。就職までは、クラスに3人~5人くらい?の割合でスタジオに入ると思うんですよ。ただそこからが問題で、2年以内にほぼ全員辞めます。これまじで。

 

辞める理由第一位は、「思てたんとちゃう。」(想像していたのと違っていた。)です。

 

まあこれはどんな職業でも言える事なんでしょうけども、そもそも入る人数が少ないのと、実際厳しいというところでしょう。毎年100人とか200人くらい新卒が入るような場合だとまた違ってくるんでしょうけども。

 

通常、アシスタントエンジニアとしてスタジオに入るんですが、まあなんというか、物凄くやる事が地味なんですよね。くりえいてぃぶさの欠片もありません。その割に先輩アシスタントエンジニアむっちゃ怖いし、先輩アシスタントエンジニアの後ろとぼとぼ付いていくだけだし、眠いし、実際の仕事ってコーヒー入れ替えるくらいしかないし、みたいな。

 

先輩アシスタントエンジニアというのは、新人に対して優しさの欠片もない獣のようなもので、血も涙もありません。そう、彼らもむちゃ大変なので、新人に優しく構っている暇などないのです。レコーディングエンジニアの方がまだ優しいですね。昔はレコーディングエンジニアも怖かったりして、噂によるとミスをしたらドロップキックや灰皿が飛んできたと。でもたぶん今はもうそんな人いないと思いますけど。。アシスタントがミスをしたら、クライアントが怒る前に派手にエンジニアがキレてその場をなだめる的な要素もあったりします。

 

Youtuberの標語なんかで、「好きな事で生きていく」みたいなのがあって、あながち間違ってはいないんですけど、アシスタント時代においておおよそ正確言うと「好きな事1%あればなんとか生きていける」みたいなノリなんですよね。99%苦しみです。まあでも音楽業界にいる人で分かってくれる人は結構いると思うんですけど、その1%の嬉しさとか喜びとか感動とかの破壊力が半端ない的な。

 

勤務時間も長い。朝から晩まで。クライアントが時間を全て決めるので、こちらの意思は関係ありません。

 

これが平均的には10年くらい続きます。鬼つらいのは1~2年くらいで、後はだんだん慣れてきますけど。でもつらいです。要領良い人は5年くらいとかだけどね。

 

要はですね、20代の青春を全て捨てる感じになります。友達もいなくなります。当然、彼氏彼女もいません。レコーディングエンジニアはだいたいみんなぼっちです。(言い過ぎ)レコーディングエンジニア必須の能力は、ぼっちでも平気というのが間違いなく問われるでしょう。なので、いい意味で初めからぼっちの人は結構強いんじゃないかと。さあ、リア充はさっさと帰りなさい。

 

そう、友達がアフター5(古い)でウェイウェイしている所を、あいつらアホかという心を持って臨まなければダメなのです。よくネットに書いてある、レコーディングエンジニアになるにはアーティストさん達とのコミュニケーションを取る必要があるので、そういった能力が必要ですみたいな感じですけども、それは僕は間違いだと思ってますね。だいたいそういうコミュニケーション能力が高い人はなんて不毛な世界なんだと気付いて辞めていきます。

 

 

レコーディングエンジニアになりそうくらいな時

さて、アシスタントを続けて30歳間近になると、そろそろお前フリーでやれよ的な空気が漂ってきます。運が良ければスタジオお付きのハウスエンジニアなる?的なお誘いも。なんとなく、アシスタントエンジニアが30歳超えてくるとちょっと扱いづらくなってきてしまうと言いますか、なんかアシスタントエンジニアが年上とかだとなんか色々頼みづらいじゃないですか。。大変失礼な事なんですけども。。

 

でもやっぱり日本においてレコーディングエンジニアの世界は年齢とその立場ってのが重要になってくるんですよね。。悲しいかな。。僕は今35歳ですが、もうアシスタントエンジニアとしてスタジオに入るのは無理でしょう。

 

30歳間近になった時、ここで重要なのは、スタジオ入って10年くらいの間で自分の仕事を評価してもらって指名してくれるお客さんがどれだけいるかです。アシスタント時代は給料制でしたけども、レコーディングエンジニアになったら歩合制になります。ここで仕事が無ければ一気に廃業です。ここでつまづく人は結構多いのではないかと。

 

まあどんな職業というか、技術職やクリエイターというのはそういうもんだと思うんですけどね。。でも今までずっと給料制で働いてきたので、その切り替えがやっぱり難しいのです。フリーって大変。

 

で、アシスタントエンジニアからレコーディングエンジニアになる時にまず必要な能力は、ミックスが良いかどうかになります。ぶっちゃけミックスが良ければ別にアシスタントから始めなくてもいいし、独学でもなんでも関係ありません。このミックスが良いかどうかという部分でまた関門が出てきます。

 

アシスタントとしてはむちゃくちゃ優秀だったけど、ミックスの音が良くないから廃業したなんて事も聞きます。逆にアシスタントの時はむちゃくちゃダメだったけど、ミックスの音が良いから売れっ子エンジニアになったという人もいます。という事で、アシスタント時代、もしくは独学の場合、ひたすらミックスの音を磨かなければ次に繋がっていかない訳です。

 

スタジオでのアシスタントって、基本的にProToolsのオペレートやセッティング等が主な業務になってくるんですけども、それをずっとやっていた所でミックスの腕は上がらないので、通常業務をこなしつつ、ミックスの勉強もしないとダメなのです。これ時間いくらあっても足りなくね?みたいな。

 

レコーディングスタジオというのは、色んなエンジニアがとっかえひっかえ来て、作業をする訳ですけども、そのほとんどが録りの作業です。今スタジオを使ってミックスというのも昔よりだいぶ減ったので。

 

なので、マイクのセッティングの仕方なんかは、色んなエンジニアさんが色んなセッティングをしているので、その中から自分が良いと思うセッティングを盗んでいけば良いんですけど、ミックスとなるとそもそもスタジオでミックスをするというプログラムが少ないので難儀します。つまり、普通に10年くらい業務をこなしていればレコーディングの技術は身に着くけど、ミックスの技術は身に付かないので時間を割いて勉強するしかないという事になります。

 

ただでさえ通常業務長いのに、さらに勉強しないとダメとかどんだけー!という。なんという無理ゲーな仕組みなんだと言いたい。

 

 

レコーディングエンジニアになったら

ミックスの腕も良くて、クライアントも付いていて、仕事もあるってなると、一気にストレスレベルが下がります。今までと比べたらまじ天国みたいな。

 

どういう事かと言うと、レコーディングエンジニアって、アーティストの方とか、レコード会社の方とか、そういったクライアントの方達とほぼ対等の立場で話せる、レコーディングエンジニアって音楽にとって大事だよねーみたいなノリで敬ってもらえる、とかで、まあ結構良い立場でお仕事させてもらえます。(あくまで仕事が出来ればですけども。。)

 

とはいえ、音楽業界の人の怖い所は、あ、こいつ仕事出来ないなー、音悪いなーと思われると、手の平を返すかの如く態度が急変します。

 

これを貼ってよいものかというところですけども、参考までに。

これもうむっちゃ怖いよ。。。実際こんな状況になったら即死にたくなる事間違いないっす。汗が滝のように流れ、機材にとって大敵な湿気を爆裂に増加させる事でしょう。

 

でも音楽ってこんなもんで、一度このエンジニア音が悪いなと思われると全て良くないように聞こえてくるのです。。音って不思議だね!!

 

この動画を見て私のエンジニアとしてやっていけるか不安レベルがマックスになり心が折れているので、一旦ここら辺で終わります。気が向いたらまだもう少し続きを書こうかと思います。

 

過去記事でアシスタント時代の事で似たような事書いてますのでこちらもどうぞ。

レコーディングエンジニアへの道のり

でわ。

 

*注

こちらの記事は全て上原の独断と偏見によるものです。

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