ミックスでスピード感をコントロールする

ミックスでは、ある程度曲のスピード感をコントロール出来るんですが、その曲におけるスピード感とは何なのかと、そのコントロールをする概念を書いていこうと思います。

 

僕はミックスで曲におけるスピード感というのをとても重視してます。ミックスというのは誇張しないとなかなか伝わらない事が多いので、疾走感のある曲はよりスピードを出して、タイトな曲はより隙間を作る、という事をします。

 

では、そのスピードや隙間というのはどこで作るのか、といった事なんですが、これは主にリズム楽器を担当しているドラムにほぼ集約されてます。もちろん、全体のアレンジとかそういった要素も色々あるんですが、ミックスに限ってスピード感をコントロール出来るのはほぼほぼドラムです。まあ、他の楽器とかのバランスの関係とかも色々あるんですけど、基本的にはって事で。

 

ただ、スピード感をコントロール出来るからと言って、もちろんテンポそのものが変わる訳ではありません。あくまで、なんとなく疾走感が出た、なんとなくタイトになった程度のものですね。それでもミックスにおいてはこの小さな差がかなり重要な要素になってきます。

 

実際のイメージ図を元に説明していこうと思います。あくまでイメージです。まあ、音を定量化するってのはなかなか難しいもんですね。。

 

 

曲のスピード感はアタックとリリースの関係性で変わってくる

むっちゃ適当な図なんですけども、これがおおよそレコーディング終了時で、何もしていない時の生音によるアタックとリリースのイメージ図です。あくまでイメージだからね。

 

① レコーディング終了時

オレンジの三角がキック、緑の三角がスネアとします。時間は右側に流れてるイメージで、ドンドンパンみたいな感じで叩いています。縦軸がアタックの量、横軸がリリースの量だと思ってください。

 

ドラムは、レコーディングされただけの音というのは結構簡素なもので、実際耳に聞こえてる音はもっとリリースが長く聞こえてます。というより、アタックが想像以上に多くレベルを食ってます。音響機器がそういう性質なんですね。耳ってうまい事出来てるもんでして、今の音響機器の性能は耳の性能にはるかに届いておりません。まるでこの音源は目の前で演奏しているようだ!なんてありますけど、なんだかんだ生で聞いた方が音いいです。

 

さて、これをコントロールしていく訳ですが、アタックとリリースをコントロールをするエフェクターというのがコンプレッサーです。つまり、ドラムへのコンプレッサーの掛け具合でスピード感が変わってくる訳です。

 

コンプレッサーでドラムのアタックとリリースをコントロールするやり方をざっくり説明します。コンプ自体の動作は色々説明されているサイトやら本やらがあるので省略しますね。

 

コンプレッサーのアタックタイムを速めていくと、アタックが少なくなっていき、リリースタイムを遅くしていくとその分音の余韻の音量が相対的に持ち上がるのでリリースが長くなっていきます。

 

そのアタックとリリースの具合によって感じるスピードが変わってくるんですが、このアタックとリリースの配分をコントロールする事がスピードをコントロールすると同義かなと。

 

では、実際スピード感を出して、曲に疾走感を付けたい場合はどうするのか、というと、今僕が考えるスピード感が出るバランスのイメージはこんな感じです。

 

② 疾走感重視

リリースを少し伸ばしてやって、アタックに少しリリースが掛かっている状態。これが一番スピード感出る状態だと思ってます。ちなみに、リリースがアタックに掛かると、その分アタックは減って聞こえます。要するにリリースの音にアタックが埋もれると相対的にアタックが聞こえづらくなるので減って聞こえる状態です。

 

疾走感というのは音の連続性によって生まれるものなので、音が途切れる事なく聞こえ続けている事が大事です。それプラス、アタックがある程度出ていないと打点が出てこないので音が連続して聞こえない訳です。

 

次に、リリースをどんどん伸ばしていくとどうなるかと言うと、

 

③ 太さ重視

 

こんな感じのイメージで、リリースを長くしていくとアタックがどんどん減っていきます。こうなると、疾走感は無くなっていきますが、ドラム音そのものは太く感じられるようになってきます。

 

ちなみに僕はこんな感じにしたい時は、アンビエンスマイクなどで録った音をコンプでアタックをコンプレッサーで凄くつぶしてうっすら足したりしてますね。リリースしかないドラムの音を足すと、全体のリリース感が増える訳ですね。

 

では、逆にタイトにして曲全体にスキマ感を付けたい場合はどうするかというと、

 

④ タイト感重視

 

このようにして、リリースを短くしていきます。レコーディング時の音より短くするとなると、ゲートなどを使う場合が多いです。まあそこまでしなくても、レコーディングしたそのままの音は十分隙間があるので、ゲートを使う場合はかなり意図的にする時なんかですね。

 

上記はほんとこれ超ざっくりなイメージなんで合ってるかどうか謎なんですけど、まあだいたいこんな感じです。

 

で、上記を踏まえて一番重要なのは、曲が本来持っているスピード感に合わせるというのが基本です。ここを合えて外すというのもそれはそれでいいんですけど、一歩間違えるとダサくなるという。冒頭に誇張すると書きましたが、なんか伝わりにくいと思うんですけど、曲が本来持ってるスピード感は誇張されてこそ一致するみたいなイメージかなと。

 

まあ総じてコンプ感なんて言葉を使ったりする事もありますけども、このコンプ感をどれだけ作るかによってスピードも変わってくるんですね。

 

とはいえ、これ訓練しないと聞き取れません。(耳が認識してくれない)よりによってスルーされる部分でもあるので、アマチュアの曲なんか聞くと、あれーなんかスピードばらばらだなーなんて思ったりもします。

 

バランスももちろん重要なんですけど、ミックスにはこういったスピード感という要素もあるぞと。

 

音楽っていっぱい要素あるから大変ですね。終わり。

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