レコーディングスタジオで働く為には
ツイッターにて、もし専門学校に行かず直接スタジオで働かせてもらうためには「どんな形でも」どうしたらよいのでしょうか?と質問が来ました。ツイッターでも返答しましたが、どうせならさらに突っ込んだ事を書いていこうかなと。
今回、レコーディングスタジオで働く為にはというスタジオは、プロを多くクライアントにしているプロスタジオに焦点を絞って書いていこうと思います。あくまで前提として、なんとしてでもスタジオで働くという事で書いていきます。
・スタジオ探し編
1.募集しているスタジオを探す。
当たり前ですが、最初はこれです。募集しているスタジオを探すには、ミュージックマンネットを見るのが良いかと思います。
アシスタントエンジニアの募集を出してるスタジオがいくつかあるはずです。経験者、未経験者に関わらずその全てに応募します。経験者のみと書いてあっても応募はしてみましょう。万が一があるかもしれません。
2.スタジオのホームページを全てチェック。
上記のミュージックマンネット等で募集をしておらず、スタジオのホームページ上で直接募集を行っている場合も結構あります。ミュージックマンネットには主要なプロスタジオのリンクが一通り乗っているので、その全てをチェックしてみてください。
募集は欠員が出た場合に急に行う事が多いので、毎日チェックする事が大事です。研修生が全て辞めてしまうという事が多々あるので、一度募集かけているところは小まめに見るようにします。
3.スタジオ全てに電話してみる。
これは正直、確率と効率がとても悪いです。ほぼ100%に近い確率で相手にされず、かなり邪険に扱われます。募集今はしていないとほぼ言われますが、分かりましたそうですかで終わってはいけません。数回語気を荒げて粘ってみましょう。
例)「募集今してないんだよね。」→「なんとしてでもスタジオに入りたいんです!なんでもいいんで雇ってください!」→「いや、人手は足りてるから」→「せめてスタジオ見学だけでも!」→「いや、、スタジオ来られても同じだから、、」→「じゃあせめてスタジオの外でもいいんで話だけでも!!」→「うーん、、分かったよ。。」
ぐらいの感じで。
再度言いますが、こんなうまくいきません。ほぼ100%に近い確率で相手されません。むしろ嫌われます。ちなみに僕はアポなしで直接スタジオに伺うという事を何回かしましたが、これは社会人として常識外れであり、まず雇ってもらえないので、せめて電話はしましょう。
上記の3つをマメに半年~1年ほど続けてみると、見学、面接くらいまでにはほぼありつけると思います。
・面接編
スタジオの人達は、人間を扱う商売なので実によく人を見る癖がついています。一挙一動何かと分析されるのでそこは覚悟しておきましょう。演技してもバレます。
1.挨拶と話す言葉はハッキリと話す。
こちらも当たり前ですが、挨拶はしっかりしましょう。適度な声の大きさでおはようございます、ありがとうございましたをハッキリと滑舌良く言いましょう。小さい声は論外ですが、あまり大きな声で話し過ぎるのも問題です。スタジオは閉鎖された空間であるので、あまりに熱血漢だと嫌がられる事もあります。落ち着いて、ハッキリ、的確に、が大事です。
2.自分を大きく見せない
自己PRをする必要はありません。私はProToolsがうまく扱えます!音楽大好きです!根性あります!等聞かれないのにわざわざPRする必要はないです。どうせヘボいんだろと思われてます。
むしろ、自信があり過ぎる人は、スタジオ入ってからボコボコに打ちひしがれて傷心のまま去っていく傾向があるので、そういった人を採用するのはスタジオ側としては避けがちであると思います。何一つ大げさに言ったり、謙遜したりせず、ありのままの現状を全て伝える気持ちでいきましょう。出来ない事はキッパリ出来ませんと答えます。
・見学、研修編
1.寝ない
これのみに集中してください。自分のやりたい事なんだから寝ないに決まってるでしょ!と思いがちですが、スタジオで見てるだけだとむちゃくちゃ眠いです。
寝る事によって何を見られるかというのは、エンジニアはとても体力がいる仕事なので、寝ずに起き続けられるというスキルまたは適正が必要です。これが無いとみなされる場合があります。それと、好きな事なのに集中出来ない奴だ。と思われる事もあります。
なので、結果的に寝る奴はどうせ続かないだろうという判断が下される場合が多いです。
・やってはいけない事、注意する事編
1.夢や希望を語らない。
これは絶対やってはいけません。スタジオの中の人は基本的に超現実主義者です。夢や希望を語ってる暇があったら手を動かせと言わんばかりの勢いです。
さらには、夢や希望を大きく語る奴に限って辞めるという方程式を全員知っているのです。夢や希望があるのは大いに有意義な事ですが、スタジオの中の人には絶対その事を話してはいけません。自分の中に静かにしまっておきましょう。
2.過去にやった自分のミックス、レコーディング作品を聞かせない。
あなたが現時点でどれだけミックス、レコーディングの腕があったとしてもアシスタントとしてスタジオで働く事に限っては全く必要ありません。仮に凄い高いレベルで技術があるとするなら、じゃあ自分でエンジニアになれば?と言われて終わりです。
アシスタントエンジニアにそういった技術は求められません。(初めのうちは)
3.先輩アシスタントエンジニアに怖気づかない。
はっきり言って、先輩アシスタントエンジニアは物凄く怖いです。人間の1人や2人くらい殺してるんじゃないかぐらいの勢いです。クライアントの前ではとても腰が低いですが、研修生と2人きりになった途端目付きがヤクザのようになります。熊も怯みそうです。
アシスタントという名から、下っ端的なイメージがなんとなくありますが(失礼)、アシスタントエンジニアというのは全くそういうものではありません。組織の中の一員というよりは、アシスタントエンジニア一個人として自立して働いているので、独特の雰囲気があります。(要するに怖い)
妙な威圧感があるので、怖気づいて仕事が出来ないようになってしまう事もありえます。負けないようにただただ頑張ります。仕事が出来るようになるまで耐えましょう。
最後に
まだ書きたい事は山ほどありますが、主なところでこんな感じでしょうか。
なんにせよ、スタジオで働くというところまでは基本的に難易度は低いです。何年も続けるというのが本当に難易度が高いのです。残念ながら、スタジオの中の人全員がどうせこいつはすぐ辞めるだろうと思っています。実際ほとんどがそうだからです。
去る者は追わず来る者は拒まず的な世界です。